家族画テストと家族絵画療法

家族画テスト(family drawing test)とは

家族画テストとは、家族の様子を描くことで、描き手と家族の関係や、家族内の人間関係を読み解く描画テストのひとつです。

家族画テストは大きく分けると、
一般的な家族のイメージを描く「DAF:drawing a family」と、自分自身の家族を描く「FDT:family drawing test」に分かれます。

また家族画テストの応用として、家族が何かをしているところを描いたり、自分が子どもの頃の家族を描いたり、家族を動物に置き換えて描く方法なども考案されています。

家族が与える影響と家族画テスト

個人の生育過程において家族の影響は無視できません。

しかし、家族のイメージは主観性が強く、家族内のことは秘密性も高いことから、自分と家族との関係を客観的に捉えたり表現したりするのは難しいものです。

そこで無意識レベルでの家族のイメージを知る方法のひとつとして、家族の絵を描いてもらう家族画テストの研究が進められてきました。

家族画テストを通すことで、直接は言葉にしにくいような家族への感情や葛藤が表現されやすくなります。

家族画テストの解釈・読み解き

家族画テストでは人物が描かれるため、人物画の解釈をベースに描き手の中の家族の人物イメージを読み解くことができます。

さらに家族画では複数の人物が描かれるので、人物の描き順や空間としての位置関係、大きさや色合い・描き込み具合の差なども重要なポイントです。

また、誰かを描く時にためらったり中断したりするなど、描いているときの様子も手がかりになります。

家族画テストを応用した描画テスト

動的家族画

自分を含めた家族が、何かをしているところを描く家族画テストのひとつです。
描画に動的な要素が加わることにより、家族内の相互作用が増幅される効果があります。

退行動的家族画

例えば、5歳のときの自分と家族が何かしているところ…という風に動的家族画に過去という要素を加えた家族画テストです。
描き手が過去をどのように捉えているかなどに気づく効果があります。

動物家族画

家族を動物に置き換えて描く家族画テストです。
家族のイメージを動物に投影することで無意識の防衛が軽減され、感情や葛藤が表現しやすくなる効果があります。

家族画テストから家族療法へ

家族療法では、家族をひとつの単位(システム)として扱うことが多いです。

そこで、家族のみんなでいっしょに家族の絵を描くことで、家族間の相互作用や洞察を促す家族療法としての家族画の使い方もあります。

合同家族画・家族絵画療法

本人だけでなく、家族が共同で家族画を描きます。
描画中の家族間の言動をとおして家族関係を把握したり、家族がいっしょに描画に取り組むことで相互作用や洞察を促す心理療法としての効果も期待できます。

参考文献・おすすめの本

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高橋依子、牧瀬英幹/描画療法のさまざまな実践について、章ごとに1つずつ徹底解説。適応の見極め、導入の手順、描画の解釈などの基本的な進め方、細かい工夫や注意点などを、事例をあげながら具体的・実践的に説明する。