風景構成法

風景構成法とは

風景構成法(LMT:Landscape Montage Technique)とは、中井久夫により1969年に創案され、1970に発表された日本生まれの描画テスト兼芸術療法です。

A4サイズの画用紙にサインペンで、川・山・木・人など10項目の絵を描き、一つの風景を完成させます。

風景構成法は描く内容の指示は与えますが表現の自由度が高く、心理テストであると同時に心理療法としての側面が強いのが特徴です。

風景構成法と箱庭療法

風景構成法の誕生には箱庭療法が大きく影響しています。

中井久夫は、1969年に開催された「第1回日本芸術療法研究会」での河合隼雄の箱庭療法の講演を聞き、自身もすぐに箱庭の準備に取りかかりました。

そして箱庭が使えるようになるまでの間に、紙の上に箱庭を作ってもらうことを思いつき、風景構成法のアイデアが生まれました。

風景構成法に必要な道具

・A4サイズの画用紙
・サインペン(黒)
・24色程度のクレヨンやクレパス

風景構成法に必要な時間

通常15分~25分ほど
もう少し長くなることもあります

風景構成法のやり方

導入

セラピストが被験者の目の前で画用紙に枠取りをします。

「今から私が言うものを一つ一つ唱えるそばからこの枠の中に描き込んで、全体として一つの風景になるようししてください」
と言い、画用紙とサインペンを手渡します。

課題の提示

1.川
2.山
3.田
4.道
5.家
6.木
7.人
8.花
9.動物
10.石や岩
11.足らないと思うもの

※1~4の川・山・田・道を「大景群」、5~7の家・木・人を「中景群」、8~10の花・動物・石を「小景群」と呼びます。

彩色・完成・質問

描き終わったら、色をぬり完成。
必要な質問、連想、支持などを行います。

風景構成法の分析と解釈

風景構成法は描画テストとして分析・解釈されますが、明確な基準がなく標準化はされていません。

主に箱庭療法やユング心理学にそった分析・解釈がされます。

風景構成法実施のポイント

・画用紙の枠取りは必ず描き手の目の前で行う(※枠づけ法)
・絵の上手や下手を見るテストではなく、自由に描いていいことをはじめに説明する
・質問があった場合は「自由にどうぞ」と描き手の自由裁量を支持する
・各要素や全体について、描きたくなければ描かなくてもいい姿勢をもつ

参考文献・おすすめの本

参考書籍・おすすめの本の中からランダムで表示中

高橋依子、牧瀬英幹/描画療法のさまざまな実践について、章ごとに1つずつ徹底解説。適応の見極め、導入の手順、描画の解釈などの基本的な進め方、細かい工夫や注意点などを、事例をあげながら具体的・実践的に説明する。