曼荼羅と心理療法(自己や精神の統合)

ユングも描いた曼荼羅模様

心理学の世界で曼荼羅というとユングのマンダラが有名です。

父のようにしたっていたフロイトと学術的な相違によって決別した後、ユングは精神病かと思われるほどの危険な精神状態に陥っていきました。

そのとき、ユングは自身の無意識と向き合う過程の中で、円などの図形を使った曼荼羅のような模様をたくさん描いていたそうです。

後にユングは自分が描いていた模様が東洋で「曼荼羅」と呼ばれていることを知り、曼荼羅が人類に普遍的な表現だということに気付きます。

ユングは心が変容するときに表れる魂の元型表現を「マンダラ」と名付け、心理療法の中で重要視するようになりました。

心理療法の中で表れる曼荼羅

心理療法の過程で、夢やアートの表現の中に曼荼羅が登場することはめずらしくありません。

心理療法における曼荼羅表現は円や正方形の形をとるとは限らず、4や9といった数字も曼荼羅を表すシンボルとして読み解くことができます。

曼荼羅は心が変容する重要な過程で表現されることが多いため、絵画療法や箱庭療法などのアートセラピーでは、曼荼羅表現は何かのサインとして注目されてることが多いです。

心理療法における曼荼羅の表裏

絵画療法や箱庭療法などの心理療法の中で曼荼羅が表れたとき、自己や精神の統合を示す心の変容のサインとして捉えることができます。

しかし一方で、曼荼羅は「こころや精神の崩壊を必死に守る最後の防波堤」(参照:心理臨床大辞典)として表れることもあるので、注意が必要とされています。

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