箱庭療法

箱庭療法とは

箱庭療法とは、大きな箱の中に砂とミニュチュアを使って自分の世界を表現し体験することで心が癒やされていく心理療法の一つです。

箱の内側は青色になっており、砂を掘ることで川や海などを表現することもできます。

箱庭療法の歴史

箱庭療法のルーツは、イギリスの小児科医マーガレット・ローエンフェルト(Lowenfeld,M.)が1929年に発表した「世界技法(The World Technique)」です。

彼は、H.G.ウェルズの小説「フロア・ゲーム(Floor Games)」に書かれていた、子どものミニチュア遊びに感動し、子ども達が砂箱とミニチュアで世界を作りながら心が癒やされていく技法を考案しました。

その後、世界技法を学んだスイス人のカルフ(Kalff,D.M.)が、ユング心理学を基盤に世界技法を発展させ、子どもだけでなく大人にも活用できる「砂遊び療法(Sandplay Therapy)」として確立していきました。

日本には1965年に河合隼雄氏により箱庭療法が伝えられました。

ユング研究所で学んでいた河合隼雄氏が、カルフのもとで「Sandplay Therapy」を体験し、箱庭療法として日本に伝えたことで急速に広まっていきました。

河合隼雄氏は「箱庭遊びの文化があり、言語なしで視覚的直感的に物事を把握することに優れた日本人にぴったりの方法だ」と感じたといいます。

1985年に「国際箱庭療法学会(International Society for Sandplay Therapy)」 が設立され、1987年には「日本箱庭療法学会」が設立されました。

日本で箱庭療法として発展・蓄積されたものは国際的にも高い評価を受けています。

箱庭療法の道具

砂箱

箱の大きさには国際的な規格があり「57cm×72cm×7cm」のものを使います。(このサイズからはずれた箱を使うこともあります)

箱の内側は青色になっており、砂を掘ることで川や海などの水を表現することができるようになっています。

砂の種類は特に決まっていませんが、乾いた白っぽい砂を使うことが多いです。

色の異なる砂を用意したり、砂を湿らせたりすることで、表現の幅を広げることもできます。

ミニチュア

ミニチュアの種類や大きさには特に規定はありません。

人物・動物・植物・建物・乗り物・橋・柵・石など、いろいろな種類とサイズのミニチュアが揃っていることが好ましいです。

怪獣や宗教的なアイテムなどが、心の表現に合うこともあります。

ミニチュアはセラピールームの一角にさりげなく並べておくことで、箱庭療法への自然な導入になります。

またクライエント自らミニチュアを持ってきたり、自作することもあります。その場合はその事自体にも意味があります。

箱庭療法の特徴と効果

非言語性

言葉を用いない箱庭では、言葉で表現しようがない内的世界を表現することができます。
また、箱庭を通したセラピストとクライエントの関係は、適度な治療的距離をとりやすいメリットがあります。

簡易性

箱庭療法は他のアートセラピーに比べて、芸術的技術やセンスによる優劣の差が目立ちにくく、取り組みかかりやすいのが特徴です。

また短時間で簡単な割に満足感のある作品ができるので、クライエントの美的感覚を満たしたり、カタルシス効果を得ることができます。

触覚性

はじめはすぐにミニチュアを置けないケースもありますが、砂を触っている感触から「治療的退行」が触発されたり、リラックスできたりします。

視覚性

自分の世界をセラピストに見せられると同時に、自分でも距離をおいて客観的に自分の世界を見ることができるようになり、洞察に促す効果があります。

箱庭療法におけるセラピストの役割

箱庭療法においては、クライエントが表現した箱庭表現を分析したり解釈することに重点を置きません。

セラピストは場の環境を整え、クライエントの自己治癒力を信じながら、ともに作品を味わうという態度が基本となります。

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