アートセラピーの効果と目的

アートセラピー(芸術療法)は、言語によるセラピーよりも心や感情を表現しやすいセラピーです。

はっきりとした言葉では表現できない、複雑であいまいな感情でも、イメージをアートにぶつけることで表現することができるからです。

アートセラピーでは、自由な自己表現の中で自分の内面と対話をし、自分の本当の感情に気づいていくことを主な目的としています。

アートセラピストの役割

医療やカウンセリングの現場では、クライエントの心身の状態を把握するためにアートを用いた心理テストを行うことがあります。

しかし、アートセラピーではセラピストが作品やその製作過程から読み取った解釈をクライエントに伝えることはありません。

大切なのはセラピストが診断をすることではなく、クライエント本人がアートに表現された自分の心身の状態に気づくことだからです。

そのための環境を整えサポートしていくことがアートセラピストの役割。

大切なのは、セラピストがクライエントの病気を治すのではなく、クライエントが自ら自分の無意識の感情に近づけるために寄り添うことです。

アートセラピーの診断的側面

アートセラピーの目的はアートを分析することではありませんが、 『絵が語る秘密』 にも書いてあるように、アートにはクライエントの心の状態が表れています。

色使い・配色・タッチ・構図・描かれたモチーフなどから、心理状態や心の方向性などを読み解くことができるので、アートの診断的側面はセラピストがクライエントとともアートを味わい、サポートする際の助けになります。

アートと心の関係

・暖色は気持ちが外に向いている(解放・発散)ことが多い
・寒色は気持ちが内側に向いている(集中・内省)ことが多い
・対比的な配色が見られる場合、気持ちの上での対立や葛藤があったり何かはっきりとさせたいことがある
・タッチの荒さや優しさは心の状態の表れである

アートと体の関係

心の状態だけでなく体の状態が絵に表れることもあります。頭に鈍痛がある時に描いた人物の頭が黒く重たそうだったり、内臓の悪いところを赤く強調してぬることもあります。

アートセラピーのカウンセリング的側面

アートセラピーではアートを通したセラピストとの交流の中で自分の心身の状態に気づく事ができます。

自分が今何をどう感じているのかを言葉にできますか?
自分自身のことは案外、自分だけではわからないものですが、アートにはそれが象徴的に表れます。

アートを通して自分の心を見つめ直したり、アートの中に心の奥に鬱積した感情を吐き出してみましょう。

言葉のやりとりを中心とするカウンセリングでも同じことをしますが、アートセラピーではそのプロセスをアートを通して進めていきます。

アートは言葉よりも心や感情のイメージを表現しやすいので、アートを通すことで心のカウンセリングがスムーズに進むこともあります。

感覚・能力を磨く

アート、つまり創作活動は人の五感の発達を促します。
感覚は使わなければ衰えていきます。身体的外傷や年齢による衰え、ストレスによる感覚麻痺、恵まれすぎた環境の悪影響など、多くの理由で感覚の衰退は起こり得ます。

また子どもの成長過程には感覚がめざましく成長する時期があり、その時期に五感を発達させる機会を奪われると、その後その発達を取り戻すにはかなりの努力が必要です。幼少期の「お受験」などは感覚が成長する大切な時期に、子どもの五感を養う機会を奪いがちです。

大人でも子どもでも、五感を養うのに最も適しているのは「遊び」です。そしてそれと同じくらい適しているものが「アート」なのです。